ペットボトルを立てるイメージの強い加地さんだが、実は試合中はペットボトルを投げ捨てているという衝撃の事実。水はまだ頬袋の中に。
足が思いっきりラインから出ているが、加地さんのスローインが描くふんわり美しい放物線に副審も見とれ、気付かない。
「ちょっと、ちょっとちょっと」と、息の合ったところを見せる加地さんと宮本。
今日は、特に後半は加地さんが攻め上がる回数が少なく、試合の残り時間もあとわずかとなり、古巣への「恩返し生ふんわりクロス」はおあずけか、とあきらめかけていたその時、FC東京陣内で加地さんが倒されてフリーキックのチャンスを得、直接ゴールを狙うには遠い位置だが、これを蹴るのはなんと、加地さんである。
加地さんがこういう、ゴール前に放り込むフリーキックを蹴る場面を私は観たことがない。加地さんがどんなボールを蹴るのか、期待が高まる。やはり加地さんは、フリーキックもそうなのだろうか。笛が鳴る。右脚から放たれたそれは、果たして、そうだった。
ふんわりフリーキック。
加地さんの右脚に触れた瞬間、重さを失ったかのようにボールは高く高く舞い上がり、やがて選手が殺到するペナルティエリア内にスローモーションのように落ちてくる。しかしそのあまりの美しさに見とれてしまうからか、触れたら壊れてしまいそうな気がして躊躇するからか、それとも加地さんの魔法がかかり物理学的にあり得ない軌道を描いて落ちてくるからか、敵も味方も誰も触ることができず、それはぽとりとピッチに着地し、転々と逆サイドへ転がっていく。
これほど美しく感動的で、これほど癒しに満ちたフリーキックが、かつてあっただろうか。もはや芸術である。「新日曜美術館」で特集される日も近い。ところで芸術といえばこの人も負けてはいないのだった。
またしてもヘアスタイルが芸術の秋の宮本。パンツはなぜかちょうちんブルマー。