私の家の者は、私が加地さんに夢中になっていることは知っているが、最近は羽生が気になりつつあることや、アンテナを埋め込まれたことまではまだ知らないはずである。言っていないし、家の者はカジオログなど読んでいない。だから冗談や嘘でそんなことを言い出したはずはなく、それは紛れもない事実に違いないのだ。家の者は、言った。
「昨日、なんか変な寝言言ってたよ」
「え、なんて?」
聞き返す私に、驚くべき答えが返ってきた。
「わかんない。なんか、宇宙語みたいだった」
どうやら私は寝ている間に、UFO、もしくは羽生と交信していたらしい。しかも自ら宇宙語をしゃべって。私の体が完全に羽生に乗っ取られてしまう日も、いや、もしかすると、私の体が完全に羽生そのものになってしまう日も近いのかもしれない。
そういえば朝起きた時、アンテナが起動していた。